近頃、海外映画で扱われるテーマが、日本社会の状況にあてはまると感じる機会が多くなった。『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』('17)における女性差別や、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』('18)で描かれるシングルマザーの貧困と就労困難。これらはまさに、いまの日本が抱える問題でもある。どの国も状況は似たり寄ったりなのだと納得する一方、いままで表面化していなかった社会の歪みと向き合うタイミングなのだと実感させられる。今回取り上げるアニメーション映画『インクレディブル・ファミリー』は、3人の子どもを抱える夫婦が、スーパーヒーローと家族を両立させるというユーモラスな筋立ての作品だが、中心となるテーマは女性の労働であり、またしてもいまの日本を想起せずにはいられなかった。 『インクレディブル・ファミリー』は、2004年に公開された『Mr.インクレディブル』の続編である。今作で中心となるのは、身体を自
