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小酒井不木氏の思い出 (国枝 史郎)
小説家。長野県茅野市生まれ。早大英文科中退。在学中自費出版した戯曲集「レモンの花の咲く丘へ」を契... 小説家。長野県茅野市生まれ。早大英文科中退。在学中自費出版した戯曲集「レモンの花の咲く丘へ」を契機に、劇作活動から朝日新聞記者を経て松竹座の座付作者となる。しかし、バセドー氏病に罹患し活動なかばで帰郷。各地を転居しながらの療養生活中、「講談雑誌」(博文館)に寄稿した連載時代小説「蔦葛木曽棧」(つたかずらきそのかけはし)(大正11年)執筆を機に小説へ転じる。複数の筆名を用い探偵小説なども手がける一方、奔放な空想力で描かれる時代小説は現代にいたる伝奇小説のさきがけとなる。とくに代表作と言われる「神州纐纈城」(しんしゅうこうけつじょう)(大正14年)は、陰惨怪奇、神秘的色彩の濃いその特異な作品世界が高く評価され、三島由紀夫からも「文藻のゆたかさと、部分的ながら幻想美の高さと、その文章のみごとさと、今読んでも少しも古くならぬ現代性とにおどろいた。(中略)その気稟の高さは比較を絶している」と絶賛され