大爆発、大地震、大洪水、巨大なテロなどの大災害に見舞われた後、人々はどんな行動を取るだろうか。 各人が自分勝手な振る舞いをしたり、集団パニックを起したり、あるいは火事場泥棒的な犯罪が跋扈したり――と想像しがちだが、実は反対。サンフランシスコ大地震、ロンドン大空襲、メキシコ大地震、ニューヨークの9・11テロといった例を挙げながら、大惨事にあって、人々は相互扶助的に助け合おうとする、と著者は主張する。 その一方で、権力を行使する側のエリートは「エリートパニック」を起こしやすい。〈エリートパニックの中身は「社会的混乱に対する恐怖、貧乏人やマイノリティや移民に対する恐怖、火事場泥棒や窃盗に対する強迫観念、すぐに致死的手段に訴える性向、噂をもとに起こすアクション」〉であるが、その理由を推察する記述が面白い。 〈彼らは、自分たち以外の人々はパニックになるか、暴徒になるか、家主と店子の関係をひっくり返そ
