本といえば、200頁前後の手のひらサイズをイメージするだろうが、984頁で重さ1070グラムというお相撲さんのような本が出来上がった。 安宅和人さんが書かれた『「風の谷」という希望』である。幸運にもこの本の制作にプロデューサーとして関わることになった、僕から見たこの本の制作プロセスを書き残したい。 「風の谷」プロジェクト始動安宅さんがこの本の執筆に取り掛かったのは2023年12月からである。そこから1年7ヶ月、期間もおろかその濃度は想像を絶するものだった。同時に、そこに至る道のりがあり、この本の始まりはそのはるか前であった。 2017年の年末、クリスマスの夜のことである。安宅さんに声をかけてもらい10人ほどの人が恵比寿の英治出版に集まった。お互いが全て知り合いというわけではない。仕事もバラバラであり、安宅さんと何かしらの接点があった人たちである。そこで安宅さんは「風の谷」構想を口にした。
