人間の魂や創造性を信じる者 vs. BGMとして消費する者 第三の論点は、第一の論点と関連しつつも、より本質的なレベルのものです。あえて単純化して言えば、この間のリバイバル以降に浸透した現在のシティポップ観には、二通りの流れが入り混じりながら存在していると考えられます。 一つは、音楽的な野心に満ちたあの時代のミュージシャンたちが作家としての〈個性〉を刻みこんだ、代替の利かない創作物としてシティポップ一般の存在を捉える考え方です。リアルタイムで黄金期のシティポップを楽しんでいたファンに限らず、比較的若い人たちでも、プレイヤー志向の強いクリエイター/リスナー、および、音楽全般に特定の人物の感情の発露を求めるような熱心な聴き手には、どちらかといえばこちらの考え方に近い方が多いのではないでしょうか。 もう一つには、YouTube等のインターネット上での〈バズ〉を通じて、なんとなく懐かしくて洗練され