8月4日、科学誌「サイエンス」に掲載されたある研究結果が、中国屈指の重要な伝説を地質学的に裏付けるかもしれない。 【写真】地滑りでできた古代の巨大ダムの跡 4000年近く前、中国の奥地で地滑りが起こり、岩や土砂が黄河の峡谷に流れ込んだ。崩れ落ちた土砂は高さ200メートルにもなる巨大な自然のダムとなり、数カ月にわたって川をせき止めた。やがてダムが決壊すると水が一気に流れ下り、周辺の地域に押し寄せて大洪水を引き起こした。これが「サイエンス」で報告された筋書きだが、この洪水が、中国史を大きく動かした可能性がある。幻と言われる中国最古の王朝、夏王朝は、大洪水をきっかけに成立したと言われてきたからだ。 「この洪水は、西洋で言えばノアの大洪水に相当するほど重要です」と話すのは、この研究を主導した北京大学の呉慶龍氏だ。 伝説によると、古代の中国は湿った土地がどこまでも広がり、住めるようにするのに何