「再び」と書いたのはつい20年前、日米同盟が機能不全に陥っていた時期があるからである(便宜上「第1次『同盟漂流』」と呼ぶ)。我々は記憶に新しい経験と歴史の両方から学び、同じ愚を繰り返してはならない。 時あたかも、今年2月「4年毎の国防計画見直し」(QDR:Quadrennial Defense Review) (以下「2010年QDR」という)が公表された。 QDRは合衆国法典・第10篇「軍隊の戦力構成見直し法」(1996年発効)に基づき、4年に1度、国防省が議会に報告することが義務づけられたものである。 今後20年間の安全保障環境を見通し、国家防衛戦略を具現化するため、戦略、戦力構成、即応態勢、戦力近代化計画、国防インフラ、予算計画等を明示するものであり、米国が国防戦略として何を重視し、どういう方向性を目指しているかが分かる。 細部は後述するが、米国は足かけ9年に及ぶテロとの戦争で疲弊し