―― 今回お話を伺うのは、難解だとされる年金制度を、誰でも読めるかたちで説明してくれる『年金は本当にもらえるのか?』の鈴木亘さん。本の帯の言葉が「厚生労働省は真実を教えてくれない」と、とてもセンセーショナルでしたが。 鈴木 10年くらい前までは、年金問題に関しては厚労省サイドの詭弁と正論の両論があったんです。厚生労働省の取り巻きグループと経済学者たちとがいて、これから勉強するという人も、何冊か読めばバランスが取れるような言論状況でした。 ―― では、議論をするための環境としては現在の方が悪化しているわけですね。 鈴木 そうです、もう急速に悪化しています。 実は、以前は厚労省自身ももう少しまともでした。1999年の改革のときに、厚生労働省が『年金白書』を出していますが、この頃はまだ「ちゃんと真実を語ろう」という硬派の官僚たちもいて、わりと両論併記の、バランスの取れた記述がされているんですね。