今年は谷川俊太郎氏、鳥山明氏、小澤征爾氏、須田寛氏、ナベツネなど各界の大御所の訃報がありましたが、歴史学の業界ではやはりなんといっても伊藤隆先生の亡くなられたことが大きなニュースでした。 伊藤先生の日本近代政治史への貢献はたいへん大きなものがあります。私は一応、系譜上は伊藤先生の孫弟子にあたり、伊藤先生の大きな業績である「革新派論」に基づいて論文も書けば授業もやってます。革新派論とは、「天皇制ファシズム」といわれた1930年代から戦時中の体制について、より厳密な実証的研究によってその呼称の必ずしも当てはまらないことを論証したもので、今では高校の教科書も革新派論に基づいて書かれています。 しかし、東大を停年された頃以降の伊藤先生の行動や言動については、かなり批判があることも事実です。亡くなられた直後、伊藤先生の一番弟子というべき古川隆久先生が、新聞に伊藤先生追悼の記事を書かれていました。 こ