「性暴力」をめぐる報道が少しずつ増えている 女性に対する「性暴力」の被害の実態がいろいろな形で明らかになっている。 #MeToo運動の広がりなどでこれまで被害を受けても口をつぐんできた被害女性たちが少しずつ声をあげ始めたからだ。 とはいえ、まだまだ被害にあった当事者の「自己責任」や「本人にも非が」などと被害者を責める風潮は今もこの国には根強い。 特に震災などの「非常時」になると、とりわけそうした傾向が強くなってしまう。被災者がいる避難所や仮設住宅などで子どもや女性がレイプなどの性暴力被害にあうケースはこれまでごく一部の関係者にしか知られてこなかった。 被災者であるという”弱み”。周囲の善意に依存せざるをえない弱み。避難所などは被災者全員が不自由や苦労を共有することで苦情や抗議、権利主張をするのをはばかる空気などで「声」をあげられない構図。そんな背景があるからだろうか。 「災害時の性暴力」の
デニス・ムクウェゲ博士は、コンゴ民主共和国を拠点に活動するコンゴ人の産婦人科医だ。彼は、ブカヴにパンジー病院を設立し、患者の治療にあたっている。彼の専門は、反政府勢力による集団レイプの女性被害者の治療だ。 現在、ムクウェゲ博士の勤務地、コンゴ民主共和国東部では、約70もの武装グループが活動しているという。同地を混乱させるのは、反政府勢力による武力活動だけではない、同国のジョゼフ・カビラ大統領は、任期満了に合わせて予定されていた2016年の選挙を延期し、権力保持のために政府内の反対派を弾圧したので、情勢はさらに悪化した。 どうすれば私たちは、兵器としてのレイプを根絶しようとするムクウェゲ博士の活動を支援できるのだろう。 § パンジー病院を開設してから、治療した女性の数は? デニス・ムクウェゲ博士:1999年から2016年にかけて、私たちは、50,731名の性暴力被害者を治療しました。 ですが
CHAPTER 1: 壊された日常 コンゴ民主共和国、ブニア。私が彼女たちに医療施設〈Mudzi Maria Health Center〉の外で出会ったのは、イースター前夜だった。空の色は、オレンジから薄紫へと移りゆき、近くのカトリック大聖堂からは聖歌隊の歌声が聴こえる。それから約30分間、聖歌隊は「アレルヤ、アーレルーヤ、アーレーェールゥーゥーヤ」とトリプル・チャントを神に捧げている。〈アレルヤ〉とは〈神を讃えよ〉を意味する古語だ。 私の目の前には、3世代からひとりずつ、合わせて3人の女性が座っている。ジェジンヌ・デウェザ(Jesinne Dhewedza)が最年長だ。この地域で暮らすデウェザと同世代の女性たちと同じく、彼女は、自らの年齢を知らない。ある晩遅くに、彼女の村を襲ったマチェーテ(農作業用の刃物)を携えた男たちに何をされたのか、デウェザは語ろうとしない。あるいは語れないのかもし
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