神風特別攻撃隊との出会い 出会いと言うのも変だが、私が初めて神風特別攻撃隊を知ったのは小学校3年生の頃だった。家の近所に子供たちを自宅に集めて絵や工作を教えている先生がいたが、絵の具が乾くまでの間、隣の部屋に置いてある週刊少年漫画雑誌を読み耽ったものである。当時は少年マガジンに続いて少年サンデーが発刊され、現在の漫画週刊誌文化の先駆けとなっていたが、今にして思えばそれらの出版に携わっていたのは戦前の軍隊経験者や、軍隊経験はなくても軍国少年として幼少時期を送った人たちだったのだろう。少年漫画誌の記事にも、戦艦大和とか零戦・隼戦闘機などが毎週のように登場して、我々戦後の少年たちも心をもときめかせながらそれらを読んだのである。灼熱の照りつける太陽も日没には美しい夕映えを見せてくれるように、十数年前に国民を惨禍に追いやった軍国の嵐も、その時は心温まるような美談や武勇伝だけが残っていたのかも知れな