南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! あー、つまりあれか、農業体験モノかと、それほど期待もせずにレジへと持っていった。荒川弘の『百姓貴族』(新書館)である。作者があの荒川弘だからかろうじて手にとったという感じ。 成功を収めた実業家や俳優さんなどが、エコな農業にチャレンジするという例が昔からよくある。しかし正直なところ農業や自然を相手にした体験記やエッセイが私は大変苦手だ。その手のジャンルといえばおおむね説教くさく、黄門さまの印籠のように「この大自然が目に入らぬか」と上から物申すかのような態度が露骨ににじみでるケースがやたら多いからだ。「ちょっと自然に触れたからって、なにを偉そうに」などと、ひねくれものの私などは反感を抱くときさえある。人気マンガ家が農業にトライするという内容なのかなと勝