1600年と1868年、東京の歴史を知るには、この2つの年号を覚えておけばよい。1600年は、日本の武将、徳川家康が天下分け目の大会戦に勝った年で、この時から江戸、すなわち今の東京を中心として新しい日本の社会政治システムが始まる。1868年は、その家康が始めた江戸の政治体制が崩壊し天皇を担いだ、新たな近代的な政権が生まれた年である。1600年より前を「江戸以前」、1600年~1686年を「江戸時代」、1686年から今日までを 「近代日本、または今の日本」と呼ぶことにしよう。 東京の観光ガイドを、このような歴史区分からはじめたのには訳がある。東京のどの風景を切り取っても、そこには江戸時代と近代日本の重ね合わせであったり、江戸以前の自然に、今の日本があったりするのだ。たとえば有名な浅草寺のある浅草は、江戸以前の豊かな自然によって海苔の産地であった。鮨の海苔は、この地名が付いた浅草(アサクサ)海