子どもの自殺が増え続けている。2020年には499人と過去最悪となった。東京大学名誉教授の汐見稔幸さんは、「子どもたちの『困難を解決する力』が弱くなっている。その背景には、人生をシミュレートする活動である『遊び』が失われたことがある」という――。(前編/全2回) 【写真】1960年代末頃の東京や川崎の子どもの遊びや手伝いの様子 ■子どもの自殺に対して日本人は感覚が麻痺している 子どもの自殺が増えつづけている。文部科学省の発表によると、2020年の1年間で、499人の小中高校生が自殺した。これは過去最悪の数字で、この数年、子どもの自殺者数は過去最悪を更新しつづけている。 いまの日本は1年に子どもが500人近く自殺する国なのだ。多いと考えるか少ないと考えるか、基準がないので判断は難しいが、頭によぎったのはしばらく前に訪れたキューバのことだった。 世界一と言われるキューバの医療制度とか教育制度、