「あんた、まだここにいるのかい?」 そろそろわたしもそういう言葉をかけられる身分になった。 極少ながらも収入があって税金も納めているわたしはアンダークラスに生きる人間ではないのだが、長年の貧乏生活のため全身から漂うルーザー臭もあるのだろう、すっかり底辺生活者サポート施設の人々と同化してしまうようだ。 「あんた、まだここにいるのかい?」 いつもわたしに皮肉っぽく声をかけてくるのは、50代後半のボランティア、リチャードである。彼は食堂の洗い場およびカフェ部門(っつっても、ティーバッグで紅茶作ったり、インスタントのコーヒーをスプーンでカップに入れてコーヒー作ったりしているだけなんだが)担当であり、暑い夏の日も雪降る冬の日も、必ず休まずにそこにいる。 彼も10年単位で金銭を貰える仕事に就いたことのないコアな無職者の一人であり、人の噂によれば元々は自分の会社を率いるビジネスマンだったらしいのだが、そ