韓国で最も権威があるといわれる「李箱文学賞」や、デビュー10年以内の作家が対象の「若い作家賞」など、デビュー数年にして数々の名だたる文学賞を受賞しているソ・イジェ。短編集『0%に向かって』の出版に伴い、来日を果たした。 『0%に向かって』ソ・イジェ(著)、原田いず(翻訳)左右社 モータウンサウンド、HIPHOPなど、一般的に“Kカルチャー”として人気のある音楽やドラマには登場しない「ソウルのB面」を描いたことでも注目を集めている小説だ。著者がソウル芸術大学の映画学科に通っていたというだけに、韓国の独立映画について書かれた表題作からは、韓国映画のB面も見えてくる。 それと同時に、韓国の独立映画などから現代社会を描くことで、若者のリアルだけでなく、それ以外の世代も含む人々の暮らしが見えてくるような小説になっている。 「韓国の映画好きはいま、日本人監督の作品を観ているんです」 表題の『0%に向か