昨年は年明け早々、NHKなどの討論番組に竹中平蔵が出突っ張りで、新自由主義陣営が全力で反転攻勢を仕掛けていたが、ここにきて竹中の姿をめっきり見かけなくなった。昨年の一年間で、新自由主義の敗北は明らかになったと言えると思う。 たとえば、朝日新聞論説副主幹の小此木潔は、著書『消費税をどうするか―再分配と負担の視点から』(岩波新書、2009年)で、下記のように書いている。 「政府は小さければ小さいほどいい」「すべてを市場に任せれば片がつく」という幻想は、「すべてを政府に任せればうまくやれる」と考えた古い左翼の幻想と対をなす誤謬であり、いずれも人々の暮らしや民意の実態を見ないイデオロギーだった。 市場取引の自由と野放しの強欲が需給の均衡をつくり出すことを素朴に信じた、現代の「おまじない経済学」の時代は終わった。 (小此木潔『消費税をどうするか―再分配と負担の視点から』(岩波新書、2009年) 19