階級社会は、人々の間の関係に「安定」をもたらすというメリットがある。一方で、人々がそれぞれの個性や才覚を持って自由に創造し、社会を作っていくダイナミクスを奪ってしまう。 坂本龍馬は、土佐藩の下級武士である、郷士の家に生まれた。当時、土佐藩においては比較的厳しい階級制度があり、上級武士である上士との間には歴然たる区別があった。そのようなもろもろの「しがらみ」を断ち切らなければ、坂本龍馬の活躍はなかった。「脱藩」という行為はそんな「龍馬の自由」の象徴である。 それぞれの「分をわきまえる」という美意識は、すでに存在する秩序を安定させるためには有効に働く。しかし、才能を発揮させるという命題においては、「分をわきまえる」ことは阻害要因にしかならない。 人間の才能は、遺伝子だけで決まるわけではない。たとえ、遺伝的要素がある程度の提供を与えるとしても、ユニークな資質をもった人が生まれる確率は、社会階層の