昭和の銀座を庭として青年時代を過ごし、この街を今もこよなく愛する作家、岩下尚史さんが教えてくださるのは、 銀座ならではの伝統に触れて一人前のレディになる方法。街の来歴や往時の様子も聞くと、銀座正統の形が見えてくる! 「20代の頃、勤め先もあったので銀座は毎日歩いておりました。今もときどき出かけます。その頃とはまるで風景が違いますが、おしゃれして行きたい、という街なのは変わりませんね。〝銀座〟のブランドは保たれていると思います。歌舞伎座があって、花柳界があって、暮らしている人もいる、珍しい街でした。今も新しいものと古いものが混在しています。 なくなったけれど忘れられない店は多いんです。『エルドール』というクラブのママたちご贔屓の洋菓子店で宝石のようなケーキを買ったり、銀座通りの『千疋屋』でジャングルのような植物に囲まれてコキールを食べたり。谷口吉郎設計のビルの『資生堂パーラー』は憧れでしたが
