iPS(アイピーエス)細胞という言葉を聞いたことがあるだろうか。正式には人工多能性幹細胞といい、体中のあらゆる細胞に変化できる能力をもつ。日本の山中伸弥・京都大学教授(46)がマウスを使って世界で初めてつくり出した。現在はヒトのiPS細胞もつくられており、実用化に向けた研究競争がくり広げられている。いずれ自らの体細胞でつくったiPS細胞を自分に移植し、臓器や組織を再生させられる日がくるかもしれない。 iPS細胞……人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cell)を略した言い方。山中伸弥・京都大学教授が2006年、世界に先がけてマウスでの作成成功を発表し、世界中で研究が活発になった。ヒトのiPS細胞はバイエル薬品のチームが07年春に作成。山中教授のチームとアメリカのチームも、07年11月に作成を発表した。 ◇細胞は成長の道のりを逆に歩ける わたしたちの体は60兆