京都市の姉妹都市イタリア・フィレンツェにはシニョリーアと呼ばれる広場があり、その南東にパラッツォ・ベッキオ(古い宮殿という意味)がある。その約700年前(鎌倉時代)の建物の一部はフィレンツェの市役所として今も使われている。 フィレンツェの南約50キロにあるシエナの市役所は14世紀中ごろ(南北朝時代)の建築で、ヨーロッパではそういう街を歴史都市といい、伝統的な建物の保存に力を尽くす。建物の資産価値が40年前後でなくなると考える日本とは大きく異なる。フィレンツェを京都並みの歴史都市だという人に私は違和感を抱く。 100年ほど前の祇園祭では、通り沿いに2階建ての暗い外観の町家がずらりと並んでいた。そこを通る山や鉾(ほこ)が界隈(かいわい)で一番背が高く、キラキラしてカラフルだった。しかし、今では山鉾の進む通りの両側にあるビルのほうがツルツル、ピカピカしている。風景が根本的に変わってしまった。あま