【事件の座標軸(11)完】 平成24年は、警察不信が頂点に達した1年だった。免職・停職の懲戒処分者は過去最悪のペースで推移し、いまだ止む気配がない。性的な不祥事や証拠捏造(ねつぞう)などが相次いで発覚した大阪府警。被害相談よりも署員の親睦旅行を優先し殺人事件を防げなかった千葉県警。臨機応変さを欠いてストーカーに女性の住所を告げ、殺害のきっかけを作ってしまった神奈川県警。富山県警では現職警部補が殺人・放火事件の容疑者として逮捕された。失態が失態を呼ぶ負の連鎖は警察改革を余儀なくされた12年当時と重なる。国民に再生を誓ったあのときから10年余り。月日はいたずらに失われたのか。 ■「心の制服」 現場は解放感に満ちた真夏の砂浜。ゴムボートに横たわる男女の行為は多数の海水浴客に丸見えだった。目撃した女性の1人が、地元の観光協会に「男性グループが女の子を襲おうとしている」と届け出た。 グループ