情報を守り、自由を保持するために、送るメッセージの秘密を守りたい。そんな人のために開発されたアプリ(メッセンジャー)は、送信した内容を記録ごと自動的に消去する機能を持つ。機密性の高さで人気を集める一方で、オレオレ詐欺の世界で広まり犯罪にも利用されている。ライターの森鷹久氏が、ますます見えないところへ潜って活動し、ネットワークを広げるオレオレ詐欺の世界についてレポートする。 * * * ついに起きてしまった「アポ電強殺事件」。逮捕された男のうち一人は、SNS上で「音信不通になったオレオレ詐欺の受け子」として顔写真が晒されていた。この事例からはオレオレ詐欺に加担する人たちの遵法意識の低さがうかがわれるが、それだけでなく、彼らがネットを介して知り合い、簡単に犯行に手を染めている様子や、その実態も見えてくる。 筆者もこれまで、オレオレ詐欺グループの実情について受け子や出し子たちが「保証金」を支払わ