TBSラジオ『アフター6ジャンクション2』のコーナー「週刊映画時評ムービーウォッチメン」。宇多丸が毎週ランダムに決まった映画を自腹で鑑賞して生放送で評論します。今週評論した映画は、『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(2024年6月21日公開)です。ここからはその書き起
早瀬憲太郎(ハヤセケンタロウ)プロフィール “聞こえない自分”と“聞こえるスタッフ”ではなく…ろう者の監督として挑んだ初めての映画撮影 演技としての表情と自然な手話を一体化させる“手話演出” 「ぼくが生きてる、ふたつの世界」では手話表現が時間とともに大きく変化 ごまかしが効かない「手話をしながら歩く」シーンを違和感なく演じた吉沢亮 手話を使う人物・物語の描写に変化を感じる? 画像・動画ギャラリー(全11件) 早瀬憲太郎(ハヤセケンタロウ)プロフィール手話を第一言語とするろう者。神奈川県横浜市内にて、ろう児対象に国語を教える学習塾を運営。2001年から映像教材を作るようになり、2009年に映画「ゆずり葉-君もまた次のきみへ-」、2013年に映画「生命のことづけ~死亡率2倍 障害のある人たちの3.11~」、2020年に映画「咲む」で脚本・監督を担当した。そのほか映画、映像作品で手話指導・手話監
川上さわさんが20歳のときに撮った映画『地獄のSE』。ざらついた映像、詩を彷彿させる言葉、鮮烈なアニメーションと音楽、「狂い」の雰囲気が解き放たれた町で、恋をしたり愛をしなかったりする中学生たち、さまざまな模様で繰り返し描かれる死、不穏に包まれていながら、青春を感じるやりとり。絶妙なバランスで成立しているこの作品が上映に至るまで、川上さわさんはどのように思考し、生きてきたのでしょうか。遡ると、講談社が主催する、新しい時代をサバイブする多様な女性のためのコンテスト『ミスiD2021』では、参加者の一人としてたしかさと危うさが共存した不思議な魅力でその存在を光らせていた川上さわさん。当時、地元・岡山にいたさわさんが映画に巡り会うまで、上京してから、劇映画の衝撃と日記映画のケア性に出会うまで、そして、『地獄のSE』ができるまでの話を聞きました。 ーさわさんが上京する前、地元・岡山で暮らしていた頃
2021年制作(モンゴル) 原題:Khudaldagch ohin 監督、脚本:ジャンチブドルジ・センゲドルジ キャスト:バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル、エンフトール・オィドブジャムツ 配給:ザジフィルムズ ⏩アジア映画レビュー記事一覧 お初のモンゴル映画。モンゴルといえば、草原をイメージする人も多いかもしれない。しかし、本作の舞台は草原ではなく街中、それもアダルトグッズショップである。 主人公は、素朴で真面目な女子大生サロール。骨折した友人の代理で働くことになったのは、アダルトグッズ専門店!幼い顔立ちとのギャップに驚く。そして謎めいたオーナーとの交流を通して少しずつ変わっていく。 “性”と“生”の新たな世界を教えてくれる存在が、異性ではない同性の女性である点はまだいいものの、自立した女性が若い女性に指導する構図はどうも『プラダを着た悪魔』を連想してしまう。(個人的に『プラダを着た悪魔
立教大学で蓮實重彦氏との運命的な出会いとともに、黒沢清監督は自主映画作りを続けていく。そんなときに手伝いを誘われた映画が、『太陽を盗んだ男』だった。好評インタビューシリーズの第6弾。(全4回の3回目/4回目に続く) 『太陽を盗んだ男』(販売元:ショウゲート) 『太陽を盗んだ男』で初めてプロの現場を体験 ―― 8ミリを撮りながら、黒沢さんもプロの現場に参加されるようになっていくんですね。 黒沢 それは本当にたまたま、長谷川和彦監督と知り合ったので、『太陽を盗んだ男』という映画を撮るから現場に付けと言われて。脚本を書いている時からずっと付き合っていたんですけど。僕が大学4年生の時です。全然大学には行けず、『太陽を盗んだ男』が終わって大学に戻ってみると、5年生になっていた(笑)。
CINEMORE(シネモア) Actor‘s Interview 『ルート29』森井勇佑監督 × 大沢一菜 監督の撮りたい演技に応えたい【Director’s Interview Vol.449】
いま日本映画界を第一線で支える映画監督たちには、8ミリ映画を自主制作し、才能を見出され、商業映画にデビューした者たちが少なくない。今年『蛇の道』『Chime』『Cloudクラウド』と公開作が相次いだ黒沢清もその一人。自身、自主映画出身監督であり、黒沢監督の大学の後輩でもある小中和哉氏が聞き手として振り返る好評インタビューシリーズの第6弾。(全4回の1回目/2回目に続く) 大学の先輩・後輩である黒沢清監督(右)と小中和哉監督(左)©藍河兼一 ◆◆◆ フランスでの映画制作など、活動の場を海外にも広げている黒沢清監督は、大学の映画サークルでお世話になった大先輩だ。僕が立教大学在学時に黒沢さんは既に卒業していたけれど、よく学校に来て僕らの作品を見てくれたり、自分でも8ミリを撮ったりしていた。黒沢さんが商業映画を撮り始めると、サークルの仲間と共に僕も黒沢さんの現場に参加させていただいた。そんな黒沢さ
評価は真っ二つに アメリカで2週連続1位を獲得した話題作『シビル・ウォー アメリカ最後の日』が日本でも大ヒットしています。週末動員ランキングで初登場1位を記録しました(10月4日~10月6日興行通信社調べ)。誰もが知っている大スターが出演しておらず、日本ではさほど関心が高くないと思われていただけに予想外のヒットといえるでしょう。 アメリカ大統領選が迫っていることに加え、2021年の連邦議会議事堂襲撃事件の衝撃や、トランプ暗殺未遂事件に象徴されるアメリカ社会の緊張が、近未来のアメリカの内戦という筋書きに対する興味をかきたてた可能性があると思われます。ところが、その評価をめぐって賛否両論というか、意見が真っ二つに分かれているのです。 主な批判の一つは、本国でも多数の人々が指摘したように、「この映画は、政治的な主張をしようとしているようだが、結局中途半端に終わっている」というものです。つまり、現
たった1館の上映からスタートし、SNSなどの口コミを中心に人気に火がつき全国138館まで拡大している『侍タイムスリッパー』。“インディーズの時代劇”という異例の快進撃で、『カメラを止めるな』の再来とも呼ばれている。 お金がかかる時代劇は、インディーズ映画にとってまさに“鬼門”。監督の安田淳一さんは脚本・撮影・編集など「1人11役」で制作費を圧縮したが、それでも映画が完成した時は口座の残高7000円だったというギリギリの制作だった。 安田さんの“本業”は結婚式などのイベントムービーの作成だが、他にも油そば屋の経営や、昨年からは他界した父親の田んぼを受け継いだ米農家でもある。一体どんな生活をしながら映画を作ったのか。壮絶かつ愉快な制作秘話を聞いた。 安田淳一監督 ©文藝春秋 撮影・山元茂樹 貯金を崩し愛車も売って…それでも600万円足りなかった ――映画を撮りながらお米を作り他の仕事もされてい
アンパンマン先生の映画講座映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。 監督:ヨルゴス・ランティモス 2023年 主な登場人物(俳優)役柄 ベラ・バクスター(エマ・ストーン)自殺したヴィクトリアに彼女の胎児の脳を移植した女性。 ゴドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)通称ゴッド。天才外科医。 マックス・マッキャンドルス(ラミー・ユセフ)医学生。ゴドウィンの助手。 ダンカン・ウェダバーン(マーク・ラファロ)弁護士。 マーサ(ハンナ・シグラ)船旅の客の老婦人。 ハリー・アストレー(ジェロッド・カーマイケル)船旅の客。 トワネット(スージー・ベンバ)フランスの娼婦。 スワイニー(キャサリン・ハンター)娼婦館の
10月4日に公開され、週末動員ランキングで初登場1位となるなど反響を呼んでいるA24の最新作『シビル・ウォー アメリカ最後の日』。分断が深まり、国を二分する内戦が起きたアメリカを描いたディストピア・アクション映画だ。 CINRAが配信するPodcast番組『聞くCINRA』では、ライターのISOさん、映画や音楽に関するMC・ライターとして活動する奥浜レイラさんと、本作について語り合うエピソードを配信。番組の一部を抜粋して紹介する。 ※記事では、物語後半の内容に触れています。あらかじめご了承ください。 『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は、連邦政府から19もの州が離脱したアメリカが舞台。共和党支持者が多いテキサスと、民主党支持者が多いカリフォルニアが同盟を組み、「西部勢力」として政府軍と対立。激しい内戦に突入していた。 物語の中心人物は、崩壊間際に迫ったアメリカの姿を取材するジャーナリスト
Culture / Feature 軍事アナリスト小泉悠と、シャララジマ&リサタニムラが語る映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』 2024.10.22up 現在、公開中の『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は、A24が史上最大の予算で製作した注目作。アメリカの分断が進んだ国内戦争を描く本作について、軍事アナリスト小泉悠と、モデルのシャララジマとエディターのリサタニムラが意見を交換。各々が考える見所、監督の意図、本作のテーマとは。 ※一部ネタバレがありますので、ご注意ください。 今回取り上げる作品は…… ストーリーの舞台は、連邦政府から19の州が離脱し大規模な分断が進んだアメリカ。各地で西部勢力と政府軍による内戦が勃発している。キルステン・ダンストが演じる戦場カメラマンのリー・ミラーと戦場カメラマン見習いのジェシー、ジャーナリストのジョエル、ベテラン記者のサミー、老若男女4人組は、ホワイ
8月に池袋シネマ・ロサで封切られ、口コミで人気が広がり全国上映にまで拡大した自主映画、『侍タイムスリッパー』。幕末の侍が現代の時代劇撮影所にタイムスリップし、「斬られ役」として名を馳せていく物語を描いた痛快なチャンバラ活劇だ。 たった1館の上映から全国に広がっていく様子は『カメラを止めるな!』の再来ともいわれるが、製作陣はどう受け止めているのだろう。 監督・脚本・撮影・編集などを務めた安田淳一、物語のキーパーソンである風見恭一郎役の冨家ノリマサ、ヒロイン・山本優子役の沙倉ゆうの、愛嬌のある役柄・錦京太郎を演じた田村ツトムが集結。和気あいあいとしながらも、脚本の力を信じ、皆が高みを目指したという撮影現場について、たっぷり語ってもらった。 「侍タイムスリッパー」予告編 / 時代は幕末、主人公の会津藩士・高坂新左衛門は「長州藩士を討て」との家老じきじきの密命を受けていた。両者が刃を交えた瞬間、落
『若き見知らぬ者たち』内山拓也×磯村勇斗×岸井ゆきの×福山翔大インタビュー。“若さ”を超えて、多くの人と握手するように。 文化服装学院の出身者であり、映画『佐々木、イン、マイマイン』やKing Gnu「The hole」のMVで知られる内山拓也監督が、商業映画デビューを果たした。現在公開中の『若き見知らぬ者たち』だ。 本作は、内山監督の知人の実話をベースにしたある家族の物語。昼間は工事現場、夜は亡くなった父が遺したカラオケバーで働き、母(霧島れいか)の介護も行う風間彩人(磯村勇斗)。追い詰められたような日々を送るなかで、総合格闘家として練習に打ち込む弟の壮平(福山翔大)と恋人の日向(岸井ゆきの)の存在が彼の支えだった。しかし、理不尽な暴力が彩人を襲い……。 骨太な一作を創り上げた内山監督、磯村勇斗さん、岸井ゆきのさん、福山翔大さんによる座談会を実施。作品の舞台裏から、時代と世代への向き合い
『佐々木、イン、マイマイン』で新人賞を総なめした内山拓也監督の商業長編デビュー作『若き見知らぬ者たち』が10月11日(金)に全国公開されました。 亡くなった父の借金を返済し、昼は工事現場、夜はバーで働く風間彩人(磯村勇斗)は、格闘技の選手である弟・壮平(福山翔大)とともに難病を患う母(霧島れいか)の介護をしながらつつましく暮らしている。恋人の日向(岸井ゆきの)との時間だけが安らぎを与えてくれるが、親友の大和(染谷将太)の結婚を祝う夜、ある出来事が彼らの運命を変える──。 初監督作の長編『ヴァニタス』(16年)でPFFアワード2016の観客賞を受賞、2020年に『佐々木、イン、マイマイン』がスマッシュヒットを記録し、新藤兼人賞銀賞を受賞した内山拓也監督。初の商業作品『若き見知らぬ者たち』では、理不尽な現実に打ちのめされながらも信じることのために闘う若者たちの魂の叫びを冷酷なまでのリアリズムで
もしもアメリカの分断が進み、国を崩壊させるような内戦が起きたらどうなるのか。10月4日(金)に公開されたA24による最新作『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は、そんな構想から生まれた映画だ。 連邦政府から19もの州が離脱し、共和党支持者が多いテキサス州と民主党支持者が多いカリフォルニア州が同盟を組み、政府軍に対抗する「西部勢力」をつくる――。一見するとありえない設定にみえるが、秩序が保たれなくなった末に起きる数々の争いや暴力行為は、世界中でいま起きていることをふまえると、途轍もなくリアルにも感じられる。 監督を務めたアレックス・ガーランドは、「この物語は現実と地続きである」としたうえで、「右派と左派の観客が喧嘩をせずに議論できるような、双方に共通点がある映画をつくりたかった」と語る。この作品の狙いは何だったのか、インタビューで聞いた。 あらすじ:連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。
色恋話と死、そして男の甘え 3年半ほど前に「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」を見て知ったチャン・リュル監督の2021年の最新作です。「慶州」が2014年の映画で、この「柳川」との間に「福岡」「群山」とあと2本撮っているようです。1年1本ペースの多作な監督です。 色恋話と死歌とダンス柳川を撮る男の甘え 柳川 / 監督:チャン・リュル 色恋話と死 「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」はかなり印象に残った映画で、そのレビューのまとめ的なもののひとつが「ちょっと上品なホン・サンス」というものでした。韓国の話でしたので余計にそう感じたのでしょう。でも、この映画ではもうすでにその印象も消えてチャン・リュル監督の映画だなあと感じます。 そしてもうひとつのまとめが「人間くさい俗なものが持つ、それとは裏腹の無常観」が基本的なテーマではないかというものでした。 そうした印象があったからかも知れませんが、この映画
空音央監督の長編劇映画デビュー作『HAPPYEND』の全国ロードショーが、2024年10月4日からはじまる。『第81回ヴェネツィア国際映画祭』オリゾンティ・コンペティション部門に出品され、現地で9月にワールドプレミア上映を迎えた際は、約5分間のスタンディングオベーションが起こったと報じられた話題作だ。近未来の日本を舞台にした青春映画であり、社会的な問いかけと映像美を両立させた意欲作でもある。 そんな空が、今作の制作においてある種のメンターとして頼りにしたのが、近年交流を持つという濱口竜介だ。 昨年、『悪は存在しない』で『第80回ヴェネツィア国際映画祭』銀獅⼦賞(審査員グランプリ)と国際批評家連盟賞を受賞した濱口は、『HAPPYEND』を「驚くべき長編劇映画デビュー作」と言祝いだ。映像や演出をめぐる倫理と美学から、現代の「政治」をめぐる再考まで。真摯な言葉で紡がれる、しかし軽やかさを忘れない
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く