「(私の通っていた)道場では普通八級からスタートするのだが、(略)(私に)主席がつけてくれたのが、十五級である。私が幼かったこともあるだろうが、実力よりも低いところからスタートして、昇級していく楽しみを与えたほうがいいという主席の配慮であった。 将棋にかぎらず習い事は、自分が少しずつでも進歩しているのがわかると継続できるが、足踏みし上達しないと嫌になってしまう。「上達する」という喜びが、"次の目標"に向かう頑張りになるのではなかろうか。私は十五級から、道場に通うごとにクラスが上がっていった。 今考えると、目標への達成感が、私を将棋の世界へと没頭させるきっかけの1つになったと思う」 (決断力・羽生善治(著)より) 続きを読む