キャリアはよく登山になぞらえられて語られます。では、登山において最も重要視されるのは何でしょうか。それは「生きて帰る」こと。これに尽きます。ところが、キャリアに関する論考の多くは「いかに速く登るか」、「いかに高く登るか」といった論点にフォーカスするばかりで、肝心かなめの「いかに生きて帰るか」「いかに滑落を防ぐか」といった論点がなおざりにされている感があります。 僕は前著の「仕事選びのアートとサイエンス」を著すに当たって、70人強のビジネスパーソンにインタビューを行いました。彼らの多くは一流大学・ビジネススクールを卒業して世界的なコンサルティングファームや投資銀行に勤務している(またはしていた)人々で、まさに「キャリア登山のファストクライマー、ハイクライマー」と言えます。しかし、そのうちの少なくない人が、キャリア登山における「滑落死」の状況に陥っていたのですね。 勝ちに不思議の価値あり、負け