学生時代は、「いい敵」がいた。全共闘だ。我々、右翼学生は少数派だから、いつも全共闘に論破され、殴られ、ボコボコにされていた。でも、卑劣なことはしなかった。例え、乱闘になっても、堂々と闘った。「弱い者いじめ」はしなかった。僕ら右翼学生は巨大な敵・全共闘と毎日、闘っていた。全共闘だって僕らのことを「弱い者」と思わない。「弱い者いじめ」ではない。「敵」として正当に認め、全力で潰しに来た。 もう40年も昔だ。今となっては、懐かしい思い出だ。清々しい闘いだった。だから今、会っても、「やあやあ」「懐かしいね」と会うことが出来る。40年前の良き時代の、「いい敵」とは今、話し合えるし、左右を超えて、同じ〈時代〉を闘った「戦友」のような気がする。 ただ同じ新左翼でも「内ゲバ」で殺し合いをやっていた人間たちは、いくら年月が過ぎても、再会し、話し合うことも出来ない。むしろ僕の方が、左翼の人達と広く付き合える。