2016年1月29日に日本銀行がマイナス金利政策を導入したことで、それが年金運用、中でも債券運用についてどのような影響があるのか、懸念を持つ企業年金は多いのではないだろうか。そこで当レポートでは、マイナス金利が年金運営の全般に与える影響について、いくつかの観点から整理した。 まず、日本よりも少し前からマイナス金利を経験している欧州の企業年金でどのような反応があるのか確認してみよう。結論から言うと欧州、特にスイスを中心として相当ネガティブな見方が出ているようだ。「確定拠出年金(DC)を導入しておけばよかった」、「10年続いたら、確定給付企業年金(DB)は破たんするだろう」、「予定利率や給付利率を下げてきたが、それでも間に合わなかった」、といったようなものが多い*。 だが実は、欧州よりも日本のマイナス金利の方が年金運営には影響が大きいと思われる。なぜならば、日本は年金債務の計算に用いられる割引