2013年04月16日00:38 カテゴリ本 カール・シュミットと「決められない政治」 シュミットはハイデガーと同様、ナチスに協力した「危険な」哲学者だが、その危険性ゆえにいまだに多くの人々を引きつけてやまない。彼の敵は、ワイマール体制に代表される「決められない政治」であり、現代の日本とも無関係ではない。 自由主義や民主主義の前提とするのは、合理的個人である。ケルゼンの実定法主義(法実証主義)では、法の正統性は数学のように、その論理整合性のみで決まると考えられている。しかし法律を数学になぞらえるとすれば、ユークリッド幾何学も非ユークリッド幾何学もともに成り立ち、どちらが正しいかを決めることはできない。このような非決定性が実定法主義の欠陥であり、それは「ナチスの制定した法律も無矛盾であるかぎり正しい」という結論を導く。 これに対してシュミットは「主権者とは、例外状態にかんして決定をくだす者を