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遊ぶだけで治るの?VRを使った楽しい眼科治療

特集
世界に挑むICTスタートアップリーグ 成功への道

 マイクロスコープやレーザーなど医療技術の発達で「痛くない治療」が進んでいる。それでも時間のかかる治療やリハビリは退屈で苦痛だ。特に幼い子どもはその目的の理解が難しく、治療を嫌がってしまう。ICTスタートアップリーグに採択されている順天堂大学発ベンチャーのInnoJin株式会社は、子どもが楽しく続けられる小児弱視訓練用VRの開発に取り組んでいる。

 小児弱視とは、幼少期に視力の成長が止まってしまう症状で、早期の治療が重要だ。片目に発生する片眼性弱視の治療には、視力の良いほうの目をアイパッチでふさぎ、見づらい目を使うことで成長を促す訓練が有効とされるが、子どもは訓練が続かず効果が出づらいという。同社の開発する小児弱視訓練用VRは、コントローラーを動かしてけん玉ゲームをするというもの。VR映像を弱いほうの目だけに表示することで、違和感なく片目に集中した訓練ができる。また、けん玉のように手と目を同時に使うことで治療効果が上がるそうだ。

 今後は、けん玉以外のゲームのバリエーションを増やしていくとのこと。大人でも通院や治療は億劫で、悪化するまで放置してしまうことが多い。しかし、治療が楽しければ早期治療や継続につながる。現在はゲームコンテンツも自社開発しているそうだが、ぜひアートやエンタメ業界と協業して、大人も夢中にさせる治療アプリを作ってほしい。

文:スタートアップ研究部

ASCII STARTUP編集部で発足した、スタートアップに関連する成功哲学の研究チーム。起業家やスタートアップ、支援者たちの活動から、日本のスタートアップが成長・成功するためのノウハウやヒントを探求している。この連載では、総務省のICTスタートアップリーグの取り組みから成功哲学をピックアップしていく。

※ICTスタートアップリーグとは?

ICTスタートアップリーグは、総務省「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」を契機として2023年度からスタートした官民一体の取り組み。支援とともに競争の場を提供し、採択企業がライバルとして切磋琢磨し合うことで成長を促し、世界で活躍する企業が輩出されることを目指している。
https://ict.startupleague.go.jp/

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