これまで数々の作品を生み出してきたマンガ家の竹宮惠子さんが、20歳での上京から萩尾望都さんとの出会い、共同生活を送った「大泉サロン」での日々、そして『風と木の詩』『地球(テラ)へ…』などの名作を生み出すまでを克明に記した『少年の名はジルベール』を出版した。これまで語られてこなかったエピソードもあり、少女マンガファンを中心に話題となっている。 時系列でつながる形にしたのは初めて 表紙に描かれた、射るような視線を向ける金髪の美少年――彼がフランスの寄宿舎を舞台に少年同士の愛を描いた『風と木の詩』の主人公のひとりであり、本書のタイトルにもなっている“ジルベール”だ。竹宮さんがこのキャラクターとストーリーの発端を思いついたのは1970年、上京して練馬のアパートにひとりで住んでいたときのことだったという。止め処なく溢れ出る構想をぶつけたのが、20歳で知り合った同い年のマンガ家である萩尾さんのペンフレ